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家族信託契約の仕組みと活用方法

これからは家族信託契約

家族信託契約とは


■ 家族信託契約は、正しい・生きた信託」でなければなりません。特に、あこぎな遺産先取り信託や遺留分侵害を目的とした信託、相続債務を潜脱する信託(被相続人の財産のすべてを信託財産にし、債務は一切引き受けしないスキームのもの)、それに「受託者がなんでもできる信託」は組成すべきではありません。
 ごく最近(平成30年9月12日)、東京地方裁判所で、「信託を使えば遺留分は請求できなくなる。したがって後継受益者の受益権の組成は自由。」との考えのもと作成されたと思料される、受益者連続型信託契約の信託(一部)が違法であるとして信託行為が取り消られる判決が出ました。家族信託を利用したい人も、信託を資産隠しや委託者(親)の遺産の先取り確保などのために使おうとしても、この判決のように信託の設定が取り消されたり無効になってしまいます。正しく活用されることが求められています。
 
 
  平成30年9月12日付け東京地裁判決は、委託者が死亡する約2週間前に作成された信託契約書にある「遺留分制度を潜脱する意図で定められた信託条項の一部」(他に、死因贈与契約の締結しており、結果的にそうなったのではなく、意図的に遺留分を侵害することになることを知りながらあえて信託条項にしたこと ※所長コメント)につき、公序良俗に違反して無効であるとして、被告である受託者兼第二次受益者に対して、「所有権移転登記及び信託登記の各抹消登記手続」と「遺留分減殺を原因として、原告の持分割合につき持分一部移転登記手続」等を命ずる判決を言い渡したというものです。
 
 
判旨を見るに、本件は、胃がんの末期状態であり、数日内にも死亡する可能性があると診断されていたS氏(平成27年2月18日死亡)が、祭祀の継承者となる次男T氏を受託者として、自宅不動産と収益用不動産、それに300万円の金銭を信託財産とした本信託契約を締結したというものです (なお、そのほかに、相当の財産につき、次女Cさんと次男T氏を受遺者とする死因贈与契約を締結しています。)。
 当事者は、委託者兼当初受益者父S氏、S氏死亡後の第二次受益者は、長男A氏、次女Cさん、次男T氏(受託者)、次の後継受益者(残財産受益者等)は、T氏の直系卑属のようです。
 信託契約書の組成に当たったのは、司法書士です。

 本信託契約では、当初受益者父S氏、
S氏死亡後の第二次受益者は、長男A氏、次女Cさん、次男T氏で、受益権の割合は、長男A氏、次女Cさんが各6分の1、次男T氏が残りの6分の4とされたが、長男A氏に形式的に法定する遺留分割合の受益権を付与したものの、A氏から遺留分減殺請求がなされ、結果、信託財産の内容等から、信託財産の一部についての受益権取得に関する信託行為が無効とされたのです。
 この信託契約書は、公正証書ではなく、公証人の認証(判決文に適示された主張の中には、宣誓認証という言葉もあるが、「面前認証」と思われる。)手続が踏まれていますが、複雑微妙な事案で公証人の作成した公文書でないことも問題視されそうです。
 
 
 

■ 家族信託契約とは、委託者が自分自身の財産を信頼できる受託者に信託譲渡し、その財産によって委託者本人の生活を護り、しかも大切な資産を承継遺贈するという仕組みであるとともに、世代を越えてその家族(配偶者や障害を有する子、孫)の安定した生活を確保するという長期的な財産管理承継機能を有する制度です。
 
 
■ 信託契約は、委託者と受託者との契約です。他の関係者が、信託契約当事者に登場することはありません。
 この信託契約は、高齢者ご本人の財産と家族を護る大事な制度です。

■ この仕組みは、成年後見制度を補完し遺言の代替しますので、公証人の作成する公正証書によって契約するのが不可欠です。
 
 
 
 

家族信託契約を制作するためには (その1)

■ 家族信託契約は、大変難しい契約です。
 上記のように、専門家が組成しても無効になるのです。まして、信託契約書を作成できる能力のない人が、この契約書を作ることは危険です。

■ 家族信託契約は、何十年も機能をする制度です。素人の方が手掛けても、それがまともに機能することはありません
  家族信託は、成年後見制度を補完し、遺言相続に変わるものだからです。
 
 

家族信託契約を制作するためには (その2)

■ 家族信託の企画制作ための三大構成要素
 家族信託契約は、何十年も機能をする制度です。そこで、信託は、ただ組み立てればよいというものではありません。
 その組成にあたっては、焦点を置くポイントがあります。

 ❶ その1が、「信託設定の目的(何のために信託を使うのか)」です。
 ❷ その2は、「信託期間(信託は何時まで続くのか)」です。
  家族信託は、成年後見制度を補完するので、受益者のために必要な支援や管理の継続が大事だからです。
 ❸ その3は、「残余財産の帰属(残った財産は、誰にあげるか)」です。
  家族信託は、その多くは、遺言代用型信託で、それはまさに遺言相続に替わるものだからです。
■ 家族信託は、正しい目的で活用されなければなりません。
 多くは、福祉型信託や事業(家産)承継型信託でしょう。
 ❶が決まれば、その多くは❷は決まり、❸も確定しますので、この三者が矛盾しないようにスキームを組み立てて、公正証書にするのです。
 
 

信託の定義

 
信託とは、信託を設定する人(委託者)が、自分が有する一定の財産を別扱いとして、信頼できる人(受託者)に託して名義を移転し、この託された人において、その財産を一定の目的に従って管理活用処分を行い、その中で信託の利益を享受する人(受益者)に信託財産を利用させあるいは運用益等を給付し、そして最終的には財産そのものを遺したい人(帰属権利者等)に引き渡し給付して、その目的を達成する法制度です。  
 

信託関係者

信託では、信託を設定する人を「委託者」、信託財産管理など信託事務を担う人を「受託者」、信託の利益を受ける権利を有する人を「受益者」といい、信託終了時に受益者とみなされ信託財産を受けるのが「残余財産受益者」、信託終了後清算手続時に受益者とみなされ最終的に残余の信託財産の給付を受けるのが「帰属権利者」であり、この人達が登場します。

〇 家族信託の最近の活用事例
 
実務で最近よく利用される代表的な事例は次のとおり。
■ 高齢者と家族(認知症の配偶者)を護る家族信託契約 
■ 遺言代用型信託で親なき後支援信託契約

■ 跡取り承継受益者連続信託契約を活用する信託
■ 任意後見契約併用事業承継信託 
 

信託の成立条件

 
信託は、その基本的要件(成立要件)として
❶ 委託者から受託者に財産が移転(信託譲渡)されること
❷ 受託者に財産の管理処分権限(排他的権利)があることである。これだけではない。いま一つの基本的成立要件として
❸ 受益者と受託者の信認関係が確立されていることが挙げられる。この要件は、さらに具体的には
(a) 受託者の権利義務が明確にされていること
(b) 受益者の権利が守られ、受益者保護関係人などが活用されていることであると考えています。
 
 

家族信託の活用方法

家族信託契約のスキームの組立ては自由であって多種多様な使い方ができる。実務でよく利用される代表的な事例は次のとおり。
 

家族信託契約のイメージ図

高齢者と家族(認知症の配偶者)を護る家族信託契約

遺言代用型信託で親なき後支援信託契約

跡取り承継受益者連続信託契約を活用する信託

任意後見契約併用事業承継信託

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