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成年後見制度の動き

成年後見制度の動き

成年後見制度の利用は、平成24年以降、利用が低迷しています。

成年後見制度利用促進の動き

 
成年後見制度は、大変大事な制度です。これからは、ますます高齢化し、多くの人が、認知症や高次脳機能障害を患います。
このような要支援者を支えるのが、この制度です。

こうした現状、法制度の欠陥ともいうべき状況を打開するために、平成28年4月「成年後見制度の利用の促進に関する法律」(成年後見制度利用促進法)が成立しました。この法律によって立ち上げられる検討委員会等で解決策等が検討され、新たな支援組織(「地域連携ネットワーク」や「中核機関」)ができるなどして再び成年後見制度の利用が増加することが期待されています。
 
なお、最近の情報として、政府は、成年後見制度における「資格の喪失や権利の制限」はすべて撤廃することとし、近く法律を改正するという話です。
 

私たちの考える成年後見制度の在るべき姿

 
(参考)
http://www.cao.go.jp/seinenkouken/keikaku/pdf/keikaku_tuti.pdf
 
私の 成年後見制度利用促進に当たっての基本的な考え方

(何が成年後見制度利用離れを引き起こしているか)
いま、富裕層、中間層の成年後見制度利用離れが進んでいる。その理由は様々であるといわれるが、「本人意思を尊重しない制度である。」「後見人が横暴である。」、「親族を後見人から排除している。」、それに「成年後見制度にメリットが感じられない。」 このような声に集約されよう。
ある地域では特定の専門職のかなりの後見人が、その必要性に関係なく、最初に本人の大事な不動産を換価処分しているとも言われている。もちろん、このこと自体大きな社会問題であると思っている(自宅の処分などは、空き家特例法の特別控除制度を奪うもので、場合によっては善管注意義務に違反する所為も考えられる。内容によっては、調査すべきであると思う)。
必要性があれば誰にも咎められることはないはずだと誤解しているのが原因ではないかと思うが、制限すべきである(住居に限らず高額不動産は家庭裁判所の許可とすること。)。本人の親族とのトラブルも起きていると仄聞する。今でも先祖代々受け継いできた大事な土地等を親族等の声を聴かずに売却している後見人もいる。結果、本人の遺言は無効になってしまう。かかる話を聞いた本人のみならず親族は成年後見制度を利用する気持ちにはならないと言う。

これにわをかけているは、親族後見人の排除である。本人にとって、親族に後見人を担ってもらうのが最良と思っている人は数多である。これが実現できないと判って後見利用離れがますます加速しているのであろう。
 

(制度の利用促進に向けて取り組むべきその他の事項)
親族後見人はだめだとレッテルを貼るのはたやすい。しかし、それは親族後見人を専門職後見人と同じくらい教育し支援して初めて言えることである。これまではこの法的仕組みはなかった。この親族後見人の教育支援する機関を創設すべきである。それは地域連携ネットワークが支える「地域後見センター」が担うべきである。

これに関連し、弁護士後見人は、本人の大事な身上保護の事務を疎かにしているという声も聞く。身上保護は、親族後見人でよいのではないかと思う。親族後見人の適任者がいないというのであれば、社会福祉士、その他専門職を中心とした「身上保護事務受託法人」への事務委任を制度として認めるべきである。時代遅れの自己執行義務の例外を制度化すべきである。

次に、任意後見制度であるが、この制度は画竜点睛を欠く。任意後見契約締結後、任意後見受任者や本人をサポートする機関が全くない。これでは10万の人が契約し任意後見登記がされても、任意後見が開始しないのは当たり前である。この任意後見受任者を支援し相談にのるサポートセンターが必要である。法の整備をも必要である。それも、地域後見センターに担わせるべきである。
 

(不正防止の徹底と利用しやすさとの調和)
後見人の不正防止は大事である。しかし、多くの高齢者は、「成年後見制度は、成年後見人が本人の財産を勝手に使ってしまう制度だ」と、また「成年後見人がやることには本人も家族も文句は言えない制度だ」と誤った認識を抱き始めている。
国民が成年後見制度を安心して利用するには、本人が、あるいは親族が成年後見人の後見業務に関して苦情を申し立てることができ、しかも相談等を通じて一定の方向性を示してくれる機関が必要であると考える。裁判所は、敷居が高い。したがって、それ以外の機関である。

現行の後見制度支援信託制度は、問題が多いし、これが後見制度利用離れを引き起こしている可能性もある。特に被後見人死亡後の帰属権利者につき、信託法(法第182条)に反する信託財産の帰属の仕組みで運用しているのも問題である(法が定める帰属権利者が裁判を提起する恐れもある)。またこの制度は、特定遺贈を内容とする本人の遺言を無効にする。単なる裁判所の運用ではなく、法律を制定し、さまざまな問題を解決して国民がこの制度を真に理解して納得できる法律制度として利用すべきである。

成年後見の在り方を考える

 
成年後見制度の原点 さらにこれが成り立つ基盤は何かを考えてみる
 
この制度を利用しようという、家族・親族が成年後見制度を信頼することにあるのではなかろうか。
家族信託に例えてみれば、委託者が「本人と家族」、受託者が「成年後見人」、受益者が「本人」という関係にあるように思う。そして、成年後見の本質は、「本人と家族」(委託者と受益者)と「成年後見人」(受託者)との「信認関係」にあるのだと思う。
成年後見制度を利用しようというのは、意思能力を失った本人の潜在的意思はあるのだろうが、現実は、そのほとんどはこの制度を信頼し、本人が、また家族が託する・信託(憲法で用いられている意味に近いように思う)するのではなかろうか。
 
成年後見制度の利用の低迷は、そもそも親族後見人の排除という考え方から始まったのではないかと思う。
後見人を希望する親族を、「そもそも貴方はだめ」と色眼鏡で見ること自体間違っているのかもしれない。
拙書でも述べているように、親族後見人の支援、養成をまったく行わないで、親族は後見人としては不適切をいう考え自体間違っているのではなかろうか。
 
成年後見制度利用促進のため、親族後見人の育成・支援、そして重用を考えてみるべきではなかろうか。
 
 
遠藤家族信託法律事務所
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